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日本動物高度医療センター見学・番外編

金重先生は、日本動物高度医療センターでのお仕事が終わると、
私を食事に連れて行って下さった。

そこは、金重先生の馴染みのお店。
金重先生は、お刺身の盛り合わせやイカの姿造り(丸々イカ一杯の姿を残したお刺身)等を
オーダーされた。

とても、美味しかった!!! 頬が落ちる、とはこのこと。

さて、なんでまたお肉を召し上がらないのかな、、、と思っていると・・・

金重先生(以下、K:)
“朝比奈先生、狂牛病に対する全頭検査なんて、非現実的だと思わないかな?”
と切り出された。

K:“全頭検査をしても、コンマ0数%の確率しか引っかからないんだよ。労力・時間・コストの
全てが無駄になりかねない。
生後20カ月以降の牛を対象とした検査と、狂牛病の
異常プリオンが含まれている脳・脊髄・目・腸を取り除くことで、安全性が
確保できる筈なんだ。”
“それに、もともと草食の牛に肉骨粉のような動物性タンパク質を与えるなんて邪道だ。”
“肉骨粉を購入した酪農家がもったいない、と飼料として使ってしまった。
政府機関が強制破棄させなかった行政指導の脇の甘さという、背景だってあるんだよ。”

“脳外科で硬膜という膜を移植した患者さんだけに、クロイツフェルト・ヤコブ病
(ヒトでいう海綿脳症)が発症している。狂牛病の牛を食べてヒトに発症していたら、
もっと世界中に蔓延している筈だ。なかなか、疫学的な知識をもった、マスコミが
一般の人に分かりやすく書ける記者も居ないもんだ。


“だけどね”
”狂牛病なんてもんじゃない問題があるんだ。
食肉牛の何パーセント位に癌が発生しているか、知っているかい?”
と金重先生。

T:“えっ、癌の食肉牛は流通経路に乗らないのではないのですか?”

K:“ショックかもしれないが、かなり高確率で癌が食肉牛に発生している。一説によると
10%位という報告もある位なんだよ。そして、それらは流通に乗ってしまっている、
勿体無いというだけの理由でね。”
“更には、この報告を学会報告された先生が、食肉業界・厚労省・農水省から
袋叩きにあった、ということなんだ。”

“食育だなんて、妄想ですよ。だって、国が対応しないんだもの。”
“今後、我々の子孫達の食の安全はどう担保されるんだろうね。コスト・コストと安全を
無視した行政監督に対する責任なんて全くマスコミは報道しないものな~。”
”本当のこと、なんてお金や利権が絡むと、正確に報道されないことが多いんだね。”

と、獣医師ならではのコメント。

K:”この様な事態なのに、大動物(牛や馬)の獣医師のなり手がどんどん減って、
崩壊状態ですよ、酪農家への医療サービスは!!!”


と、医師不足の後手に廻った対応みならず、日本の動物医療行政に対する遅れ、
マスコミの取材能力の程度や未成熟なレベル・裏事情も指摘して下さった。

安全な食べ物ってなんだろう・・・

K:“朝比奈先生、お腹に溜るものを頼もう!!!”と金重先生はおっしゃると、

白魚の釜揚げと大根おろし、白米を注文され、おいしそうに頬張った。
これが一番ウマいんだョ~!!!と満面の笑み。なるほど、納得!!!
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日本動物高度医療センター見学(4)

日本動物高度医療センターの見学に先駆けて、
金重先生の奥様が切り盛りされる動物病院へ見学に伺った。

そこは、住宅地の一角にあり、ご自宅を兼ねた病院では、スペースに限りがあるが、
内容はとても充実していた。

離島よりお出でになられた飼い主さんから、愛犬を預かると、
奥様は採血と聴診・触診をされ、全身状態の診察を行った。
病態によっては、血液の状態が悪くなっていて、術後の治り具合に影響するので、
注意が必要です、と解説があった。
これは、裏を返すと、術前の状態が悪過ぎれば、動物・飼い主さんには辛い選択だが、
手術しない選択もありうる、ということ。

飼い主の方は、中二階にある待合室で、ビデオカメラで
オペのライブ中継を見ながら待機して頂くことに。
日本動物高度医療センターでも、ライブ・オペを見れる様になっているが、
金重先生らは、ご自分たちの臨床にも実践され、飼い主さんに安心感を与えていた。

手術室で、奥様が麻酔を掛けて、気管内挿管を行い麻酔維持に移った。
人間の手術とある意味同じ手順であり、納得の臨床業務。

そして、バリカンを使って、除毛を始めた。
人間の手術とはこの点だけが違うことではないだろうか。
(当然人間でも頭の手術やお腹でも毛が濃い場合には剃毛(ていもう)するのだが。)

子宮に病気があって、お腹を開けたのだが、手早い手術が終了し麻酔から覚醒させ、
状態観察を行い、気管内チューブを抜き取った。
手術終了後、徐々に回復するでしょう、とのこと。

奥様から飼い主の方へ手術の説明を行い、一安心。

一連の流れを観察させて頂いて、
大変、勉強になったことは、医療・手術を受ける上で動物のみならず人間でも、
“術前診察”無しに治療を行ってはならない
“準備が整っていない設備”で手術を開始してはならない
ということである。
 
手術には小手術という身体の表面や口腔・耳鼻科・眼科に限局した範囲の手術分類と
大手術というお腹の中、頭の中、心臓・肺に及ぶ体内の手術分類はある。

しかし、その手術に必要な“麻酔”には、小麻酔・大麻酔という分類は全くない。
すなわち、手術を受けるには、全身状態を把握しないで、麻酔や手術に着手することは、
危険極まり無い、ということ。

私は、患者さんに足を運んで頂くことが複数回になったり、
担当外科医の先生が面倒に感じられても、
患者さんの安全・ドクターの安心には代えられないので、
術前診察を励行しなくてはならない、と金重先生らの臨床から再認識した。

また、手術を始める際に、手早い準備がなされていた。当然足りないものは無く、
スムーズに手術が行われていた。身支度半分、仕事半分、と言われる方もいる。
手術が始まって、あれが無いこれが無い、は許されない。
身支度10割、仕事10割、200%の心意気で手術に臨むことが必要であろう、
と私は考える。

そして・・・
限られたスペースに、工夫を凝らして動物の状態を見守るモニターや麻酔器を
”完備”している。
これも、ドレーゲルの津田さんから聞いていたが、百聞は一見にしかず。
人間の医療において、スペースの制限を理由にこれらのセットアップなし、は問題外。

患者さんも、鎮静をしますよ、麻酔を掛けますよ、と病院やクリニックでいわれた際には、
これらが揃っていることを確かめて欲しい。

患者さん用に、医療機関に対するチェック項目を今後、記載して皆さんと考えていきたい。

金重先生と奥様、そしてスタッフの皆さまから、
医療に対する原点回帰のご教授を受けることが出来ました。
見学を御快諾下さったこと、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

金重動物病院

金重先生の奥様が、テキパキとオペの準備を進められているシーン。
動物は、既に麻酔をかけられており、体表面は消毒剤で綺麗に拭き上げられ、
滅菌したグリーンの覆布(おいふ)で汚れが着かない様に隔離している。
写真の天井には、ライブオペ用のビデオカメラと無影灯が吊られているのが分る。
(手術者がお腹を覗き込んでも、頭の影が出ない様に、光が色々な方向から投射される。)
写真右奥には、全身麻酔器。その左隣には、血圧計、心電図などを
測定しているモニターが見える。
麻酔器の明るい小さい小窓には、呼吸パターンや炭酸ガス測定がされている。
右手の別室には、手洗い場が完備されている。

日本動物高度医療センター見学(3)

日本動物高度医療センターでは、引き続き、館内の案内をして下さった。

待合室

飼い主の方々がライブ・オペを見るお部屋
飼い主の方達は、自分の身体と同体に近い想い入れのある、動物を手術による
救いを求めている。
そんな飼い主の方達は、受けている手術を見ていたい、という気持ちになるのは
極普通のことだろう。こちらのお部屋では、手術をデュアル・タイム(手術と同時)に
飼い主が見ることが出来るように、ビデオ・カメラ映像を放映出来る様にしてある。
一般病院でも、ここまでしてくれる病院はまだまだ無いに等しい。
日本動物高度医療センターの、配慮・心意気には、頭が下がる思いだった。

薬品庫

薬品庫
整理の行き届いた、薬品庫は圧巻だった。
効能別に薬品が並べてあり、緊急時でも慌てることなく確実に必要な薬品へ辿りつける。
当たり前の様だが、処方している薬剤は人間に用いているものと全く同じ薬剤。
違う部分は、体重や年齢に合わせて、調整しているということだけだった。

麻酔前室

手術室前室
こちらは、手術室の前に前室を設定している。
直前の手術が終了する少し前のタイミングで、この前室において次の動物に
麻酔を掛けておく。手術終了と同時に、動物を回復室へ移し、こちらの前室で麻酔を
行った動物を運び込む。そのコンビネーションによって、外科医の先生方の手を煩わせる
ことなく、スムーズに次の手術を始めることができる。
麻酔前の準備として、人間の手術でも用いている、麻酔器が奥に、生体監視モニターが
中央ストレッチャー上に見ることが出来る。天井からは、麻酔器へガスを供給する、
緑色の酸素供給パイプラインと黄色の空気供給パイプラインが並行に
吊り下がっていることが観察可能。
向かって、右側には、胃や腸の検査で用いる黒いファイバー製の内視鏡が
二本あるのも分かる。

手洗い場

清潔な手洗い場
手洗いは感染予防の第一歩。手洗いの重要性は、古今東西廃れることなく、
受け継がれている。
清潔な手洗い場を見ると、その医療施設のレベルも類推出来よう、というもの。
鏡に向かって、右下方のセンサーに手を翳(かざ)すことで、流水が出て来る。
再度手を翳すと、止水する。
向かって、左側には、手洗い後に拭き取る、滅菌タオルと、その下に手を洗浄する
洗剤が封入されているケースが見える。

Crush cart

クラッシュ・カート
クラッシュとは、交通事故などが生じた際に表現する言葉。
人間の場合でも、意識が無い、血圧が以上に下がった場合を“クラッシュ”と呼ぶ。
そこで、そのクラッシュした処へ必要な物品を素早く搬入できる様に、一纏めしたものを
“クラッシュ・カート”と呼ぶ。
クラッシュ・カートには、点滴針、薬剤、注射器、固定用テープ等が
整理整頓されて詰められている。

この見学でも分かる様に、日本動物高度医療センターは、動物に緊急事態が生じても、
対応が可能な様に、充分な準備と運営がなされていた。

人間の病院・クリニックでも参考になることが満載の見学だった。

最後に、金重先生とお会いすると・・・

動物も人間同様、全身評価を行ってから手術するのは、当たり前です。
全体の森を診ずに、局所の手術だけ見る、そんなことでは、医療は成立しません。
動物は、声を発しない。それだけに、動物からの表情を読むこと。
飼い主の方々からは、想いをキチンと汲み取ること。
そうでなければ、それこそ医療過誤に発展してしまう。
だからこそ、誠意ある対応と心と心のお付き合いなのですよ。

と、豪快な金重先生に、とても”細やかな内面”を垣間見ることができた。

日本動物高度医療センター見学(2)

金重理事長より、山下先生へ申し送られ、病院見学が始まった。

waiting room

最初に、飼い主の方々が、診察や手術をお待ちになるラウンジから見せて頂いた。
とても明るく、多摩川が一望でき、テーブルと椅子以外に、ソファも隣のブースに
作られていて、遠方から来られている飼い主の方々が、足を伸ばして休める様に
と、心憎い配慮であった。

順次、色々なブースを見せて頂く。

Seminar room

セミナールームでは、獣医師と動物看護師の勉強会の真っただ中。
終了のタイミングで、セミナールームも撮影させて頂いた。

残念ながら、亡くなった動物の病理解剖を行うブースがあって、
他院での治療の整合性を問うセカンドオピニオンを行っている部署もあった。

免疫治療と研究に関するセクションを通る。医学部と同レベルの治療戦略で運営。

そして、手術室見学。

手術室では、猫の手術と犬の手術が行われていた。
麻酔科の吉ケ江先生により、手術と麻酔に関する説明がなされた。

他院での多くのケースでは・・・
動物の手術には、私が95年当時の臨床を紹介した、ガス主体の麻酔がなされている。
多くは、100%酸素+アイソフルレンが多い。

吉ケ江先生は、動物が手術によって感じる痛みを取り除く為に、人間の手術の麻酔と
同様に鎮痛剤である、フェンタニールをこの麻酔方法に併用していた。

痛みを取り除くことで、手術が終わって、麻酔から覚醒した際に、
吉ケ江先生(以下・Y:)は、
”動物が暴れることなく、静かに目を醒ましますョ”とおっしゃっていた。

日本動物高度医療センターの麻酔方法は、
人間の手術でも充分に適応する方法と哲学であった。


T: ”吉ケ江先生、本当に最先端医療ですね!!!”

Y: ”そぅですか? 色々とヒトのオペ室の実際を教えて下さい。”と気さくに応えて下さった。

T: ”今後も、情報交換をしていきましょう!!!”とお願いして、手術室を後にした。

with Dr. Yoshigae

オペの立ち会いの最中、吉ケ江先生とのスナップ撮影
麻酔器が用意されていて、麻酔管理が確実に行われている。
後方に立っている先生が、外科からの麻酔科ローテーションで、四六時中動物の全身状態
を観察している。
吉ケ江先生が指導役として、このケースをスーパーバイズしていた。

To be continued

日本動物高度医療センター見学(1)

哺乳類の病態に対して、医療の垣根があるだろうか・・・

今回のタイトルはビックリされるかもしれない。

私は、東京女子医科大学麻酔科学講座で、お世話になり修行を積んだ。
そこでは、多数の出会いがあった。
ドイツ製麻酔器メーカー、ドレーゲル社のエリア・マネージャーである
津田氏ともその一つの機会であった。

余談だが、私自身は”職人気質”な仕事を、常に行う様に、言い聞かせている。
その職人気質は、ドイツ製製品のマイスター達とも、相通ずることが多々ある。

さて、この津田さんからは、麻酔器に関するスペックやそれ以外のことも色々と教えて
頂いた。

処で、歯科治療の際に、常に頭を悩まされる問題として、手術室スペースの限界が
何時も付いて回る。

患者さんにとって、安全な手術を遂行して頂くには、麻酔器があって然りなのだが、、、
大抵の歯科で、先生方とお話しても、麻酔器の重要性は理解していても、置き場は
どうするの???という壁に何時もぶつかる。

そのスペースの問題に頭を悩ませていた時に、津田さんが、
”朝比奈先生、動物病院に弊社は麻酔器納入実績がありますが、
同じスペースの問題があっても、獣医師の先生方はうまくやり繰りされています。

と言われるので、思わず”えっ、本当ですか???”と聞き直してしまった。

”実は、日本動物高度医療センターの理事長である、獣医師の金重先生が私と懇意にして
下さっていますので、朝比奈先生の見学を打診してみましょうか?”

正に、渡りに舟。”津田さん、是非聞いてみて下さい!!!”とお願いしてみた。

数日後、先方の金重先生から、快諾を得て、見学が実現した!!!

見学当日は、生憎の雨。
しかしながら、金重先生は、豪放磊落(ごうほうらいらく)
かつ気さくな方で、素晴らしい笑顔で、私を迎え入れて下さった。
その際に、同席されていた、北村先生は、北海道で獣医師キャリアをスタートされ、
大動物である牛をメインに診られ、その後、国会議員へ転身された華麗なセカンドキャリア。

金重先生らのスケールに圧倒され、自分の小粒さを、この両先生方との懇談で、見学前に
思い知ることになる・・・
大きいのは、体格だけか・・・!?

金重先生・北村先生と

左から、日本動物高度医療センター相談役の北村先生・理事長の金重先生と筆者。
多摩川をバックに記念撮影

その内容は、次回以降にご紹介したいと思う。

To be continued
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