スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バーチャル症例検討会(6)‐3

デンタル・インプラント術後に生じた痛みのケースを軸に考える(3)

この患者さんが、疼痛外来へ通われ、ブロックによる治療を選択された処までは、
記載した。

ブロックが選択されると、スーパーバイザーの先生の指示で、採血を行った。

何故、単に局所麻酔を行うだけなのに、血液検査を行うのか?

それは、特に血液の凝固系(固まり具合)が異常事態に陥っていないか、
を確認する為だ。
局所麻酔薬を投与するブロック治療では、ブロック針を頸部(くび)に刺し、
局所麻酔薬を星状神経節付近に撒くことで効果を得る。
針を刺した際に、頸部内に血液が出血することがある。
普通は血液自体に固まる性状があるので出血を頃合いに
患者さんご自身の力で抑えてくれる。

しかし凝固系がイカれていると、出血が止まらず頸にある気管を圧迫して
”呼吸が出来なくなってしまう”、という恐ろしい事態へと発展する可能性があるので、
事前の検査が“とても”重要となっていて、欠かすことが出来ないのだ。

この検査もパスされた患者さんとスーパーバイザーの先生とのお話合いで・・・

通常、効果と治療成績が出る、と言われている回数は30~50回ほど
ブロックを施術しなくてはならない。
そうは云っても、その回数を聞いてびっくりされてしまう患者さんも多いので、
先ずは、”10回を目安”
(反応をみて施術回数を決めていこう、とのスーパーバイザーの先生のお考えだった)
に施術を予定した。

ブロックを受けられると、特有なサインが生じ、それらは、

・ブロックを行った側の顔面の血流が上昇して温かくなる
・瞼(まぶた)が充血し、目を開けにくい感じが生ずる
・鼻の粘膜も充血し術前よりも空気が通り難くなる
・ブロック施行側の手や肩甲骨の付近の血行が良くなり、温かくなる。

といったことが観察される。

さて・・・
痛みの程度は個人間での感じ方は様々であり、患者さんからの痛みの説明にも
色々な表現方法があって、なかなか正確に捉え・評価することが難しい。
そこで、痛みを定量・評価するに当たって、患者さんに説明を行うのだが、
その際に全く痛くない状態を0とし、それに対して、堪えられない痛みを10とスケールを
想定して貰う。
診察時の痛みの具合を目盛の無いこのスケールを提示して、
パッと示して頂く。
我々がその程度を計測し、初診時の痛みが8.5からブロック治療を行って
通院されている中で、
今日は、3.5程度で“落ち着いて来たかな”、とか
6となっていれば、“痛みがブリ返しているな”と評価してカルテに記載を行う。

この方法をVisual Analogue Scale(ビジュアル・アナログ・スケール)と呼び、
先程の状況をVAS値(ヴァスち、と読む)3.5とかVAS値6と示す。

初診では、この患者さんは
・VAS値9.5程度の痛み
・健康な右側と比較した左側の痺れ感は、9割程も悪いとのことだった。

6回程、連続して星状神経節ブロックを受けられた頃だろうか、
嬉しいことに患者さんはブロックを行う度に、
・VAS値4.5へ減少
・痺れ感も9割程度から6割程度への回復を
実感されていたので、ブロックの継続治療を行うことになった。

その後、30回程通院して頂き、最終的に評価すると、
・VAS値3.5
・痺れ感も3.5
という処が治療の最終的なラインであることが分かった。
どうしても、あのインプラント体が、神経に干渉していて、ブロック治療では、
痛みをそれ以下に下げること・痺れ感の回復に限界が来てしまった。

患者さんは、ブロックによる治療に満足度を示して頂け、こちらとしてもホッとした。
その一方で、
“手術をして頂いた先生を大変信頼していますし、痛み外来の先生方のご尽力は
分かるのですが、痛み・痺れ感が生じた、もっと早い段階で痛み外来を受診していたら・・・”
とポツリと漏らされた。

こちらとしても、
“温めたりする物理的療法や飲み薬で効いてくれる、初期段階で治療を行えていれば・・・”
“早い段階で、ブロック治療を始めていれば・・・”
と思ったことも、本当の処でもあった。

たら・れば、はゴルフでも禁句であるが、やはり医療を受ける時も初期治療の時期を逃して
はならない、と実感するケースでもあった。
そうは云っても、今回は、星状神経節ブロックが明らかに効果を示したケースだったので、
スタッフの我々も本当に嬉しかった。

しかし、医療であるが上に、
良いこと(ベネフィット)ばかりではなく、危険性(リスク)も紙一重。
研修医の時に星状神経節ブロックを行っていた上級医の先生の治療見学の際、
合併症が生じて、肝を冷やした経験があるが、
それはまたの機会でご紹介して、皆さんと一緒にブロックを考えて行きたいと思う。

匿名を条件とは云え、貴重な症例検討会として写真の提供を頂けた患者さんと医院の
信頼の絆に敬意を表すると共に、お礼を述べたいと思う。

面白かったり、共感して頂けたら、バナーと拍手クリックを是非お願いします!!!
人気ブログランキングへ


スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。