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バーチャル症例検討会(20) Discrimination PART IX

差別でこんな幼気な8歳の子が傷ついているなんて・・・

文科省の役人や知ったかぶりしている教育評論家が
テレビで苛めについて講釈を垂れていることを思い出した。

怒りに震えて、
“ハーフの子が苛められていることを見過ごして、子供を増やす策を議論、
 とか現場知らずの連中がよく云うよ!!!”

と拳を握り締めた。

こういった事細かい案件に対応せず、子育て支援!!!と声高に、国家予算から
予算付けすることだけに無心する政治家にも、先が思い遣られる・・・

多少でも私との話で気持ちを強く持ってくれた彼女は手術を無事乗り切ってくれた。
そして、お母さんは、退院後、抜糸で来る外来受診日に
私へ娘を会わせたい、と言って下さった。

麻酔科は、術前~術中~術後の全体に関わるのだが、
ある意味、術後の大半、すなわち退院後のことはあまりわからないことが多い。

そんな、退院後に会わせたい、と言ってくれたお母さんの気持ちが本当にうれしくて、
また毎日の安全な麻酔業務に取り掛かろうと、決意を新たに持った。

To be continued

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バーチャル症例検討会(20) Discrimination PART VIII

T:“身体的には、問題は無いかもしれないけど、ハートとハートのお付き合いは?
  この子には、精神的な手術前後のサポートが必要だよ。”

患者さんと我々医療従事者が、治療前にハートが通じ合ってなくてはならないと、
重要性を教えて下さった、私のもう一人の師である金山先生を思い出した。
クリックすると参照できます
師匠・6 金山 利吉教授 10回シリーズになっています
 
 “それと、ベッドで元気に動き回っているから、
  ナースに転落事故を防ぐ様に申し送りをしておいたよ。”


病院では・・・
手術以外のリスク・ファクター、ベッドから転落して大怪我することも予防しなくて
ならない。その情報をナースと共有することも我々の仕事の一つでもある。

この問答でもって打ち切り、研修医の先生を諭した。

まあ、絶句していたので、勉強と経験不足で拙いな、と思ったか。
それとも、ウザい指導役だな、と思ったかは分からない。

“先ずは、病める人に手を差し伸べよう、という気持ちが忘却の彼方で
 麻酔テクニック一辺倒、技術だけを追い求めているぞ”


“危険を察知するセンサーや感覚が鈍っているぞ・・・”

“大火傷をしたら拙い、という温度感をも失っているぞ・・・”

本当はそう諭したかったのだが、若い先生にストレートに言って良いのか
顔色を読んで、躊躇って言わなかった。

To be continued

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バーチャル症例検討会(20) Discrimination PART VII

T:“お母さん、大学病院で良い小児科の先生に当たりましたね!!!”

PM:“はい!!! 先生も、そんなこと聞いたからうれしいですゥ。”

お互いの表現上、多少心許なくても、大まか通じればそれでよろしいか、と。
お母さんは、だんだん、不安がなくなって、とびっきりの笑顔になってくれた。

医局へ帰って、

T:“K先生、患者さんが学校で苛められていることを聞き出せた?”
 “頭が痛い、ってそのことばかりに目を取られても、子供は大人と違って、
  病状の説明が苦手だし、正確に伝える術もないんだよ。”

 “だから、子供とお母さんとは、先ずはお友達になること!!!”

 “いつも、私が子供の患者さんにピン・バッチなどのスモール・プレゼントをあげて、
  頑張るんだよ、って励ましているところをみたことがあるだろ?”
  クリックすると参照できます
ピンバッチに込められた想い(5回シリーズ)
サーヴィス症例検討会・ファイルNo.18 Hotel Sanderson(4回シリーズ)

 “いきなり、お部屋へ伺って意思疎通なく身体のことだけを聞いて、麻酔しますって
  マシンガン・トークを自分が8歳の頃に、
  ガンガン喰らったら、と考えて御覧。”


  話は少し外れるが、マシンガン・トーク、うわべの接遇と本当の思い遣りに関して  
  クリックすると参照出来ます
サーヴィス症例検討会・ファイルNo.19 17回シリーズ

 “子供と我々の時間軸も異なるから・・・。
  急かさずに患児が話し出すまで一呼吸置くことも必要だよ”

K:“・・・”

To be continued

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バーチャル症例検討会(20) Discrimination PART VI

常に頭が痛いことは、当然のことながら、
・脳に腫瘍がある
・出血して頭の中がパンパンに腫れ上がる
こういった原因があって、示す大変危険なサイン。

しかし、年齢的にはそういった問題は極少ケースで否定的。

そうは言っても、この年齢で脳に腫瘍があれば、大変なケースとなってしまう。
(小児期の腫瘍はタチが悪いので、命を落としてしまうことが多々ある。)

その小児科の先生の診察手順
・先ずは画像診断で頭蓋骨の中にあって診ることができない脳の緊急的問題を否定
・お話から苛めに起因することに至って、習いごとを勧めて下さった
・そして、その女児も段々バレエを切欠に自信を持ちつつある段階のようだ

子供を全体的に眺めて、見逃してはいけないポイントはキチンと押さえ、
お話から類推し、子供の成長を勘案したピン・ポイント・アドバイス。
人間味溢れる、その素敵な小児科の先生とお会いして、お話したくなってしまった。

そうは言っても、
ハーフというだけで差別を受け、苛められ、これから必要であるとはいえ、
手術を控えるこの女の子の心境は如何なものか・・・

私自身の幼少期の、手術に対する恐怖心に堪えたことと照らし合わせてみても、
そこに差別の辛さが複合され、本当に悲しくなってしまった。

To be continued

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バーチャル症例検討会(20) Discrimination PART V

お母さんの見た目は、我々日本人と見紛うが、
ちょっと日本語がタドタドしいので、外国の方というのが分かった。

T:“お母さん、お仕事は何をされていますか?”
お母さんの状況を知って、お母さんの不安も取り除こう、
という目的で何時ものキーワードで聞いてみた。
クリックすると参照できます
バーチャル症例検討会(1)
バーチャル症例検討会(9)

PM:“日本の大学で外国語を教えています。”
インテリジェンス(知性)の高いお母さんの様だ。
日本語でのコミュニケーションには、多少難はあっても、
筆談・私のタドタドしい外国語や話す言葉を尽くして理解してもらう
腹積もりを覚悟した。

関連するが、色々な言語を知る重要性を水庭先生やこれからご紹介する
Dr. Salamon(ドクター・シャロモン)先生から教わった。
よって、今でもラジオビジネス英会話以外に、
イタリア語・ドイツ語や中国語などをNHK教育番組で流し見している。
クリックすると参照できます
師匠・5 水庭進教授 前半2回シリーズ
師匠・5 水庭進教授 後半5回シリーズ

PM:“先生、実は、学校で苛められているんですよ。”

 “ハーフだから、苛められるんでしょうかね。”
 “学校へ行く時間になるとォ、頭が痛い、言うんです。”

なるほど・・・

 “大学病院の小児科の先生も心配してくれてぇ、頭部のCTやMRIを
  撮ったのですが、脳には問題が見つけられませんでした。”

T:“でも、活発に動いているから、何か習い始めましたか?”

PM:“ええ、その小児科の先生が、おそらく苛めが原因だから、
   本人に何か自信を持てるものを作りましょう

  “そう勧めて下さってぇ、バレエを始めたんです。”

T:“あーあ、それで。身体の固い私には真似のできないあのポーズを
  ベッドで取っていたんですね!!!”

そういって、私はストレッチの真似事をしながら、
“痛ッ”と呻きながら、自虐ネタを言うと、お母さんはクスクス笑ってくれた。

To be continued

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